【山形】栗子山風力発電計画で“データ改ざん”疑惑とその後
和歌山県で(仮称)新白馬風力発電事業を計画している「事業者」である「JR東日本エネルギー開発株式会社」。
JR東日本エネルギー開発株式会社が山形県で風力発電事業計画をしていました。
ですが、この計画の調査データに不正があったとして告発がありました。
【要点】
1. 山形県の栗子山風力発電計画の準備書で事業者から提出されたデータに不正があったと告発があった。(報道:2023年10月11日)
2. 野鳥の会や日本イヌワシ研究会、地元住民から反発・反対の声、反対署名、市「白紙撤回を」県では「事業中止も含め抜本的な見直し」を求める声が上がった。
3. 告発から約1年、「現時点で撤退は考えていない」としていた事業者だが(2024年9月2日)、
国(経済産業省)からの「勧告」(2024年9月19日)を受けて、「採算とれず」と判断、断念すると発表した。(2024年10月1日)
風力発電計画で“データ改ざん”疑惑
不正を告発したのは、JR東日本エネルギー開発から委託された調査会社社員。
そのうちの2人が事実が隠蔽(いんぺい)されたことに憤り、2021年に会社を辞めたという。
希少猛禽類研究家・写真家 今井正さん:
データを改ざんするなんてとんでもない話。環境影響評価の根本がゆがむ。失望。準備書が通ると工事が始まる。「これは通らない」ということを問題提起する必要がある
データ改ざん疑惑内容
2020年から実施された環境影響調査の結果、予定地周辺で国の天然記念物・イヌワシの生息が確認されたが、JR東日本エネルギー開発は、巣は予定地から10km以上離れているとして「猛禽類(もうきんるい)などが風車に衝突する確率は20年に1羽に満たない」とする準備書を、県と米沢市に提出していた。
しかし、希少猛禽類研究家・写真家の今井正さんは「事実が違う。中身を改ざんしたとしか思えない」と訴える。
JR東日本エネルギー開発から専門家としての意見を求められている今井正さんは、イヌワシの巣が予定地から約3kmの場所で見つかったにもかかわらず、その事実を隠し続けていることがわかったという。
引用元:進む栗子山風力発電計画で“データ改ざん”か 「私が報告書を書いたのに…」不正告発のJR東エネ開発社員2人は辞職【山形発】
イヌワシは絶滅危惧種
イヌワシとは、森林の生態ピラミッドの頂点にたつ猛禽類で絶滅危惧種に指定されています。
生息数は500羽程度まで減っており、近い将来、野生で絶滅する危険性が高いとされています。
風力発電所が建設されると、衝突を恐れてイヌワシをはじめほとんどの鳥が発電所の周囲500mは近づかなくなり、餌場として使えなくなります。
貴重な餌場が減ることで、イヌワシが飢餓状態に陥ってしまう可能性があります。
再生可能エネルギーか?絶滅危惧種イヌワシか?両立のジレンマ/NHK
日本イヌワシ研究会が独自に調査すると…
事業者は準備書で、イヌワシの巣は予定地から10km以上離れているとしていました。
しかし、2023年の春に行われた日本イヌワシ研究会の調査でイヌワシの巣との距離は、平均で約3km、最も近い場所で2.1kmだったことが新たにわかった。
データ改ざんや隠蔽でなくとも、調査の精度が低いとして「調査は極めて不十分・不適切で論ずるに値しない」と計画の中断を求める意見書を事業者に提出していました。
また、日本野鳥の会も10月4日に計画の見直しを求める意見書を提出している。
JR東日本エネルギー開発は取材に対し「現時点で計画の中止や見直しは考えていない」と話している。
引用元:<続報>イヌワシの巣の存在隠したか? 準備書10km・研究会調査2.1km…栗子山風力発電計画【山形発】
風力発電計画に反対や見直しを求める声
各所からの反対と、
- 希少猛禽類研究家による不正の報告
- イヌワシ研究会から中止要望書
- 地元住民からの反発
- 市長や知事からの計画見直しをという意見書
様々な方からの声がありました。
それでも、事業者であるJR東日本エネルギー開発株式会社の担当者は
「八方ふさがりという感覚は持っておらず、現時点で撤退は考えていない」
と述べ、事業を継続する考えを示したと、データ改ざん疑惑が露出してから、約11ヶ月後の2024年9月2日の取材で答えたと報道されています。
JR東日本エネルギー開発は、(仮称)栗子山風力発電事業の継続を発表
経済産業省(国)からの「勧告」
2024年9月19日、JR東日本エネルギー開発に対し、計画の見直しなどを求める「勧告」を行いました。
この勧告を受け、
2024年10月1日 事業者が断念を発表しました。
ただし、この事業断念はこの勧告を踏まえたもののようです。
「真摯に対応すべく精査を行ってきたが、スケジュールの大幅な遅延とコストの増大が見込まれる」として、事業の採算がとれなくなったことを理由に挙げています。
「採算とれず」事業者が国の勧告受け断念発表 イヌワシへの影響が懸念されていた栗子山風力発電計画【山形発】
詳しい、山形県(仮称)栗子山風力発電事業が、白紙撤回に至るまでの様子はこちらに詳しくまとめられています。
かわら版No.67 (仮称)栗子山風力発電事業が、白紙撤回に至るまで【記録・保存版】/米沢市議会議員 佐野洋平
不正報告があってから約1年。
国からの勧告を受け、断念に動いた事業者。
この事業者が私達の地元、和歌山県で風力発電計画を進めています。
米沢市議会の一般質問で米沢市長は「JR東日本エネルギー開発株式会社」の事業説明会について「誠意が感じられない、市や住民と協力関係を構築する威力が欠けている」と評価されています。
住民への分かりやすい説明を要請し本市への裨益地域貢献を具体的に示した上で質疑の方法を工夫するように事業者に要請したところでございますが、
本市の意向に沿うような説明会ではなく、
今後検討すると答えた場面も多く質問や意見に対する回答は誠意が感じられず
住民の理解を得られたものではなかった、との印象を持ったところでございます。
このため翌8月6日には事業者に対し追加説明会の開催や準備書、会議録の公開、本市への地域貢献内容の提案を求めました。
その回答につきましては8月26日に事業者から提出されましたが、本市が期待する内容とは大きく異なるものとなっており、本市や住民との協力関係を構築する威力が欠けていると捉えているところでございます。
発言:米沢市長
令和6年9月定例会・佐野洋平・一般質問「栗子山風力発電事業について」(全文版)
風力発電計画と地元
本当に様々な問題点と疑問がたくさんある風力発電計画。
もしも風力発電機が建つとなると、工事が進み、山を切り崩し、大量のコンクリートを投入し、巨大な風車が建ち、その周辺は今までの環境ではなくなってしまいます。
森に住む動植物はもちろん、私達の生活環境も今までの環境ではなくなるでしょう。
一度風車が建ってしまうと、今までの環境を完全に元に戻すことはできません。
昨今の線状降水帯による水害で洪水になり家に居た子どもが流され亡くなった話や、
山にあった盛土による土砂災害で、土砂崩れになり尊い命が奪われる話もニュースになっています。
今回、私達の地元に風車を建てる計画をしている「JR東日本エネルギー開発株式会社」の事業説明会について
「誠意が感じられない、市や住民と協力関係を構築する威力が欠けている」
と、いう趣旨の発言を米沢市の市長はしていました。
もし、風車が建った後で何かあったら事業者は対応してくれるだろうか。
少しでも心配があるものをそのまま受け入れて良いのか。
風車が建つと、私達の生活環境はどうなってしまうのか。
このまま風車を、風力発電を受け入れて良いのか。
真摯に向き合って考えていきたいです。